子育て・発達凸凹

【ボク】の物語(第3話)私にできること

無呼吸の事で小児科を受診し、「生後間もない赤ちゃんは、脳の発達が未熟なのでよくあること」と言われた。

はっきりしない回答にがっかりした。

でもバカな私は「もしかして今だけかも知れない」「時間が経てば普通になるのかも知れない」と少しだけ期待を持ってしまった。

 

この頃、無呼吸の事ばかりに意識が向いていて、「目が合わない」「あやしても笑わない」「夕方の尋常じゃない泣き」「抱っこを異常に嫌がる」という【違和感】のことは忘れていた。

 

とにかく息を止めてる時間、生きた心地がしない時間、そんな時間を1日に2,3回過ごしていた。

息を止めている時間は15秒~30秒。

寝転がっている時、お風呂に入れている時、泣いている時…

それは何の前触れもなく起こるので恐怖でしかなかった。

身体が硬直してみるみる唇が紫色に…

表情は固まり、視線は遠くをぼんやり見ている。

どこか遠くの世界へ行ってしまっているような、そんな感覚。




お願い、どうにかして!

減らない無呼吸。

「これは月齢が上がって治るものではない。病気に違いない。」と思わざるを得なくなった。

 

再度、不愛想な先生の元を訪ねた。

私に出来ることと言えば、なんとかこの症状の原因を解明する為に医師を頼ることだけ。

必死に状況を説明する。

今日の先生はしっかりとこちらに身体を向けて私の話を聞いている。

いつもは「ちゃんと聞いてる?適当だな」と多少苛つくのだが、いつもと違う先生の態度に「やっぱり普通じゃないんだ…」と妙に不安をあおられる。

「時間が解決する部類の症状ではないと思っています。

きちんと調べる方法なないんですか?

酸素が脳に行き届かずに障害が残ったりしないんですか?

何か方法はないんですか?

息をしていない時間、1人では耐えられません。

どこでもいいから入院とかさせてもらえないんですか!?」

私が血相を変えて訴えるのを看護師さんは横で頷きながら聞いている。

 

先生は少し考えて「紹介状を書くから脳神経外科を受診してみて」と言った。

「今から〇〇病院に連携するから、この足で向かって」とも。

 

脳神経外科受診

よだれかけ

すぐに車で〇〇病院へ向かった。

地元の総合病院。

よく救急車が入っていくのを見ている。

その日も受付は沢山の人であふれていた。

 

ずらっと並ぶ窓口に案内番号のライトが点滅し、なかなか患者が来ないのだろうか、「〇〇さん~。」と名前を呼ぶ声が響いている。

小児科の部屋の前の長椅子には赤ちゃんを抱っこしたママが2人。

4,5歳ぐらいの子供は、待合の前に置かれた小さいテレビに映し出されるアニメに夢中になっている。

私はベビーカーを押して足早にその前を通り過ぎた。

 

【脳神経外科】の看板を見つける。

さっき通り過ぎた小児科とは違い、薄暗く、誰もいない。

「すみません、〇〇小児科から紹介されて来ました。」

と脳神経外科の受付で恐る恐る声をかけると「こちらにどうぞ」とすぐに案内された。

 

そこにはメガネをかけた、実際40歳後半ぐらいだろうが妙に若い雰囲気のある、すらっとした男の先生が待っていた。

 

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